新型コロナ感染症経口薬と中和抗体による治療について(2022/8/12 更新)

重症化リスク(50歳以上、肥満[BMI 30 kg/㎡以上]、心血管疾患[高血圧を含む]、慢性肺疾患、糖尿病、慢性腎障害、慢性肝疾患、免疫抑制状態他など)の患者さんには 経口でウイルスの増殖を阻害する抗ウイルス剤(ラゲブリオ、パキロビットバッグ)を処方する場合があります。発症から6日以内の投与開始が望ましいです。他に、1回の点滴で終了する中和抗体の点滴治療(抗体カクテル療法)があります。

1)経口薬

ラゲブリオ(モルヌピラビル)、パキロビットバッグ(ニルマトレルビル・リナビル)があり、2剤とも、12時間毎に5日間経口投与します。これらの薬剤は処方上の制限が色々ありますので薬剤の説明を受けたうえ、承諾書に署名をいただきます。(当院では承諾書の控と薬剤の説明書をお渡ししています。)

パキロビットの方が有効率が高いと言われていますが、併用薬剤の禁忌(併用制限)が多いので、病状及び処方等を把握している(かかりつけ)患者さん以外にはなかなか処方しにくいのが現状です。ほとんどはラゲブリオの処方になってしまうのが現状です。

付記:8月18日に同剤は薬価収載となります。現在は、国が購入した製品を医療機関に無償提供しています。薬価は200mg1カプセル2357.80円。1日薬価は1万8862.40円(2357.80円×8錠)となる。5日分で94,312円の高価な薬です。安定供給の見通しが立ったため薬価収載し、一般流通させることになりました。(医師の判断で重症化リスク因子のない患者でも投与可能に! ← こんな見出しが載るくらいなので、更なる医療費圧迫ですね)当院では診断基準に沿った症例しか処方いたしません!!@キッパリ

また、通常処方と違い、何処の処方薬局でも受付けてもらえるわけではないので、患者さんの住所地に近い処方登録薬局に連絡し、処方可能の有無を確認し処方箋及び処方適正情報チェックリストをファックスで送付します。帰宅後 薬局から受診者宛に連絡がきて自宅まで薬剤を届けてもらうというシステムになっています。(薬局さんからは配達料を請求される場合があります。)

経口薬(ラゲブリオ・パキロビッドパック)の取扱いについて

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/corona_portal/iryokikan/keikouyaku_touroku.html

2)中和抗体による治療

中和抗体薬は「ロナプリーブ(カシリビマブ及びイムデビマブ)」と「ゼビュディ(ソトロビマブ)」です。抗体によりウイルスが細胞の表面に付着するのをブロックします。2種類の抗体を混ぜ合わせて使用するため、抗体カクテル療法と称しています。投与対象者は重症の方以外です。(酸素投与を必要としない軽症者に適応)発症から5日以内で点滴投与のため処置後一泊以程度の要観察が必要で、都立・公社病院や民間病院・診療所のほか、酸素・医療提供ステーション等において、必要な患者に対して行われています。

重症化リスク因子;55歳以上、薬物治療を要する糖尿病、肥満、慢性腎臓病、うっ血性心不全、慢性閉塞性肺疾患、中等症から重症の喘息 以上の因子を一つ以上有する18歳以上の患者さんが適応になります。酸素投与が必要ないのも条件です。

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/corona_portal/shien/chuwakotai.html

中和抗体薬に関するリーフレット

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/corona_portal/shien/chuwakotai.files/leaflet.pdf

酸素・医療提供ステーション

赤羽・青山(都民の城)・築地・立川・練馬 (5カ所)

軽症から中等症患者さんの酸素投与の目的で設置されましたが、現在は中和抗体の治療と病床逼迫による搬送困難者の収容が主体になっているのが現状です。酸素マスクを装着した患者さんがズラーと横になってるイメージとは違います。

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/corona_portal/shien/sanso_station.html

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